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泉南市の借金と貯金はいくらあり、どう変わったか

2026-10-22財政

泉南市には、借金にあたる「市債」と、貯金にあたる「基金」があります。市債は学校や道路をつくるときなどに借りるお金で、何十年もかけて返します。基金は、収入が落ちた年や災害、施設の建て替えに備えてためておくお金です。市の財政課が出している令和7年度(2025年度)決算のあらましや、中期財政計画などの資料から、借金と貯金がいまいくらあり、この数年でどう動いたかを確かめます。返済の重さは市が使えるお金の余裕を左右し、これから予定されている施設の建て替えにも響きます。市の財政が「健全」かどうかを測る物差しにも触れます。

借金(市債)はどれくらいあるのか

令和7年度末の市債の残高は217.0億円です。中期財政計画によると令和2年度末は282.5億円だったので、5年で約65億円減りました。令和7年度は15億3,510万円を新たに借り、元金を22億5,568万円返しています。借りる額より返す額が多い年が続いているため、残高が減っています。 市民1人あたりにすると、令和7年度末で37.8万円です。人口や産業の形が似た全国の市町村(類似団体)と比べられる令和6年度は、泉南市が38.6万円、類似団体の平均が33.4万円で、泉南市のほうが重くなっています。 217.0億円の内訳は、公共施設などをつくるための「普通債」が92.1億円、次の節で説明する「第三セクター等改革推進債」が38.5億円、「特例債」が86.4億円です。特例債は、お金が足りないときに特別に認められる借金で、その中心の「臨時財政対策債」は、地方交付税の代わりとして市が発行するものです。返済にかかる分は、のちの年度の地方交付税の計算に入ります。

土地開発公社の解散と第三セクター等改革推進債

泉南市は平成25年度に土地開発公社を解散しました。土地開発公社は、公共用地をあらかじめ買っておくために市が全額出資してつくった法人です。解散にあたって、市は第三セクター等改革推進債を66億円発行しました。令和7年度末でもまだ38.5億円残っています。決算のあらましは、この借金の割合が大きく、類似団体と比べて市債の負担は大きいと書いています。

貯金(基金)はどれくらいあるのか

基金の残高は、令和7年度末で76.3億円です。令和2年度末の45.9億円から、5年で約30億円増えました。市民1人あたりでは13.3万円です。令和8年6月の定例会でも市長が、令和3年度と比べて基金は約17.9億円増え、市債は約54.7億円減る見込みだと答弁しています。 ただし、基金はどれでも自由に使えるわけではありません。76.3億円の内訳は、年ごとの収入の波をならす「財政調整基金」が19.7億円、借金の返済に備える「公債費管理基金」が16.8億円、施設の整備に使う「公共施設整備基金」が7.4億円、その他が32.4億円です。その他のうち27億1,354万円は、ふるさと納税の寄附をためる「ふるさと泉南水なす基金」です。その他の基金は令和3年度末の19.4億円から13億円増えており、市は水なす基金が寄附の伸びで増えたと説明しています。急な出費に使いやすい財政調整基金は、全体の4分の1ほどにとどまります。

借金の重さを測る健全化判断比率

市の財政の健全さは、法律(地方公共団体の財政の健全化に関する法律)で決められた四つの指標で測ります。市は毎年、前年度の決算で計算し、監査委員の審査を受けて議会に報告し、公表します。借金にかかわるのは次の二つです。 - 実質公債費比率:1年の標準的な収入(標準財政規模)に対して、借金の返済にどれだけ回しているか。3年間の平均で出します。 - 将来負担比率:これから払う借金や退職金などの負担が、1年の標準的な収入の何割にあたるか。 国は、立て直しを始めるべき線(早期健全化基準)を、実質公債費比率25%、将来負担比率350%と決めています。この線を超えると、市は「財政健全化計画」をつくらなければなりません。 泉南市の健全化判断比率の公表資料では、実質公債費比率は令和元年度の10.5%から令和6年度の8.1%へ、将来負担比率は99.4%から31.7%へ下がりました。どちらも基準を大きく下回っています。一方で、同じ資料は、どちらの比率も類似団体や大阪府内、全国の平均より高いとし、令和5年度は政令市を除く府内41市町村中37位でした。 令和7年度は、決算のあらましに実質公債費比率7.1%、将来負担比率29.0%とあります。ただ、このあらましのグラフは令和6年度を8.2%、33.1%としており、健全化判断比率の公表資料と少し違います。令和7年度の健全化判断比率の公表資料は、10月22日時点で市の公表ページに載っていませんでした。

これからの見通し

令和7年11月の中期財政計画は、し尿処理施設の建て替え、小中学校の再編、清掃工場の新しい炉の建設といった大きな事業を挙げています。施設をつくるお金が増えるため、借金は再び増え、令和12年度末には240.8億円になる見込みです。基金の合計は72億円前後で横ばいと見ています。この計画は、足りない分を財政調整基金の取り崩しで埋めない前提で計算しており、令和12年度の実質収支を約39億円の赤字と見込んでいます。 大阪府の支援で作った中長期財政シミュレーション(令和5年度決算をもとにした15年の推計)でも、財政調整基金は令和8年度に約7,300万円まで減り、令和9年度には計算上マイナスになるとしています。どちらも、実際の収支と一致するとは限らないと断ったうえでの推計です。 泉南市健全な財政運営に関する条例は、毎年の借入額が元金の返済額を下回るよう努めることを市長に求めています。大きな事業と借金をどう両立させるかが、これからの論点になります。

考えるための問い

- 借金は約65億円減り、貯金は約30億円増えました。この変化を、自分の家計に置きかえるとどう見えるでしょうか。 - 学校の再編や清掃工場の建て替えのために借金が増えるとき、どこまでなら次の世代に負担を回してよいと考えますか。 - 基金の多くはふるさと納税の寄附です。寄附が減ったとき、市の貯金と仕事にどんな影響が出ると思いますか。

出典

- 泉南市の財政状況について(令和7年度決算のあらまし)(泉南市総務部財政課・2026年) https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/kessannoaramashi_r7.pdf - 令和6年度健全化判断比率及び資金不足比率(泉南市財政課・2025年) https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/kenzenkaR6.pdf - 令和元年度健全化判断比率及び資金不足比率(泉南市財政課・2020年) https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/kenzenkaR1.pdf - 地方公共団体の財政の健全化に関する法律の制度解説について(泉南市) https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/kaisetu.pdf - 地方公共団体財政健全化法による財政指標の公表について(泉南市) https://www.city.sennan.lg.jp/kakuka/soumu/zaisei/zaisei/1455948212679.html - 泉南市中期財政計画(令和8年度~令和12年度)(泉南市・2025年) https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/chuukikeikaku_R7.pdf - 泉南市中長期財政シミュレーション(令和5年度決算に基づくもの)(泉南市) https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/chuucyoukigaiyou_r5.pdf - 中長期財政シミュレーション(大阪府の支援を受け作成)(泉南市) https://www.city.sennan.lg.jp/kakuka/soumu/zaisei/zaisei/8645.html - 泉南市健全な財政運営に関する条例(泉南市・平成31年) https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/zaiseiunei.pdf - 令和8年第2回定例会(第1号)会議録(泉南市議会・2026年) https://the-sennan.top/yobo/106024